-言語活動、言語、発話-

 ソシュールは、言語学の特有の問題とそれ意外を区別するために、まず人間の
言語活動(ランガージュ)
発話(パロール言語(ラング)に分けます。
(詳述していませんが、)言語活動とは、スピーチや会話、手紙を書く行為、教科書を読んだり
といった言葉を使った活動全般を指し、言葉を操作する全般の行為と言えます。また発話とは、
通常の意味で声を出して言葉を使うことであり、個人的なもので(大いに役立つが)言語学
研究の対象とはならないとしています。言語は、言語活動の根幹であり、コミュニケーション
を成立させる社会的な記号システム([ソシュール, p89])とされます。


 つまり、言語は、社会的な構築物でありコミュニケーションを成立させるものであるのに対し、
発話は『ある人物の考えに基づいて使う』ことでとても個人的なものです。したがって、言語学
はこの社会的な総体である言語の性質を調べることを第一目的とすべきだとソシュールは考えま
した。

 乱暴な言い方をすれば「話すとか文章を書くといった言語活動には言語って言うシステムとそれ
を声に出す発話に分けられる。そして、言語っていうシステムを使わないと意味のある会話が
できない」ということを指摘したにすぎません。


 この言語がいったいどういった性質をもつのか次節でさらに考えていきます。