「スマリヤンの決定不可能の論理パズル-ゲーデルの定理と様相論理-」9章ーパラドックス?ー

一型の論者=命題論理を完全に理解するもの
(1)論者はすべての恒真式を信じている。
(2)任意の命題X、Yに関して、その人はXとX→Yを信じるならば、Yを信じる。

問題
教授 P「あなたが神が存在しないと正しく信じるならば、
そしてそのときにかぎり神は存在する」
教授が言ったことは正しく、生徒はその言ったことを信じていると仮定する。

教授の言ったことが正しいと信じる。
もし神が存在しなければ、神は存在しないと正しく信じる。
よって神は存在する。
神が存在すると正しく信じなければならない。
しかし、PはP'「神が存在しないと正しく信じないならば、そしてその時に限り
神は存在しない」と論理的に同値であるから
P''「神が存在すると正しく信じるならば、そしてその時に限り神は存在しない」
となる。(C(~p)≡qと~C(~p)≡~qは論理的に同値)
P''と神が存在することから、神は存在しない。
以上より神は存在し、かつ存在しないよって矛盾する。

定理A"
 「1型の推論者がP≡C(~p)を正しく信じることができるような、命題pは存在しない」
 
 練習問題1 定理A''を証明せよ。

[証明]
任意の命題pとqに関して、命題(p≡(~p&~q))→~pは恒真式である。
特に、命題(p≡(~p&B(~p)))→~pは恒真式である。
今、1型推論者が(p≡C(~p))を正しく信じているから、p≡C(~p)は真でなければならない。
また、(p≡C(~p)→~pより~pは真でなければならない。
推論者は1型であるから、恒真式(p≡C(~p))→~pとp≡C(~p)を信じている。 
そして、1型だから彼は~pを信じる。
また、~pは真であり、彼は~pは信じるから、彼は~pを正しく信じる。
よってC(~p)は真である。すると、p≡C(~p)ではあり得ない。
以上より、矛盾が導かれる。


練習問題2
すべての命題pにある命題Bpを割り当てる、完全に任意の操作Bがあるとする。
Cpを命題(p&Bp)とする。つまり、Bpを特定化する必要はなし。
(a)次の仮定から、論理的矛盾が導かれることを示せ。
(i) BXという形のすべての命題。Xは恒真式
(ii) (BX&B(X→Y))→BY というすべての命題
(iii) C(p≡~Cp)という形の命題
(b)もし、(iii)を「C(p≡C(~p))という形のある命題」と置き換えて矛盾を
導出せよ。

(a) [証明]
C(p≡~Cp)は(p≡~Cp)&B(p≡~Cp)である。
また、命題((p≡~Cp)→p)は恒真式である。
さらに、(ii)から(p≡~Cp)と((p≡~Cp)→p)より、pは真でありBp、Cpは真である。
しかし、p≡~Cpから~p≡Cpであり~pが真となり、p&~pとなり矛盾が導出された。
(b) [証明]
C(p≡C(~p))は(p≡C(~p))&B(p≡C(~p))である。
また、命題((p≡C(~p))→~p)は恒真式である。
さら、(ii)から(p≡C(~p))と((p≡C(~p))→~p)より、~pは真でありB(~p)、C(~p)は真である。
しかし、p≡C(~p)から~p≡~C(~p)であり~C(~p)も真となり、
C(~p)&~C(~p)となり矛盾が導出された。