「スマリヤン決定風脳の論理パズル」-ゲーデルの定理と様相論理-14章 さらに整合性のジレンマについて

前提問題
1. ある推論者が、自分が不整合であると信じているとする。
彼は不正確でなければならないだろうか。
[解答]

彼は不整合であると信じている。
これが真だとする。であれば、彼はB⊥であることを信じる。
また、彼はB⊥であることなる。したがって、不正確である。
これが偽だとする。彼は、不整合であるという間違った信念を
信じることになるから不正確である。


2.ある推論者が自分は不正確であると信じているとする。
彼が正しいことを証明せよ。
[解答]

もしこの命題が偽だとする。したがって、推論者は正確である。
彼は正確と同時に不正確であるから矛盾する。
したがって、これは真である。

3.1*型のある推論者が自分は不整合であるはずがないと信じているとする
(彼は~B⊥を信じている)。彼は自分が不整合であるとは信じないことを
信じなければならないだろうか?(彼は~BB⊥を信じなければならないだろうか?)
[解答]

~⊥→~B⊥を信じるから、論理的な同値であるB⊥→⊥を信じる。
彼は規則的であるから、BB⊥→B⊥を信じる。論理的に同値である
~B⊥→~BB⊥を信じる。また~B⊥を信じるから、~BB⊥を信じなければならない。

4.ある住人が4型推論者に次のように言ったとする。
「もし私が騎士ならば、あなたは私は奇人であると信じるでしょう。」
このとき、次のことを証明せよ。
(a)その推論者は、自分が不整合であることを信じることになる。
(b)もし島の規則が実際に成り立つならば、その推論者は不整合になる。

(a)
[解答]

(a)騎士だと信じるとする。pを「住人が騎士である」という命題とする。
したがって、推論者はB(~p)を信じる。また推論者はBpを信じる。
彼はBp&B(~p)→B⊥を信じるから、B⊥を信じることになる。
(b)実際に成り立つ時、住人が騎士だとすると彼は住人が奇人であることを信じる。
また騎士であることも信じるから不整合になる。

5.「もし私が騎士ならば、あなたは私がそうであると信じることはないでしょう。」
このとき、次のことを証明せよ。
(a)その推論者が不整合になってしまう。
(b)島の規則は実際には成り立たない。
[解答]

(a)k≡(k→~Bk)を信じる。
もし騎士を信じるとき、~Bkを信じる。
また彼はBkも信じる。彼は、不整合になる。
(b)島の規則が成立するとする。
k&~Bkは真である。これから、~Bkは真であり、
推論者が住人は騎士であると信じているに反する。
したがって、島の規則は実際に成り立たない。

6.ある4型推論者が、騎士と奇人の島と信じるところ
(彼は島の規則を信じる)に来たとき、ある住人が彼に次のことを
言ったとする。
(1)「あなたは、私が奇人であると信じるだろう。」
(2)「あなたは、つねに整合である。」
このとき、その推論者は不整合になってしまい、また、
島の規則は成り立たないことを証明せよ。
[証明]

住人が奇人だとする。(2)より推論者は、整合でないと信じる。
よって、すべての命題を信じる。
(1)を信じるので、(1)は真になる。
これは矛盾する。したがって、住人は騎士である。
(1)を信じる。また、騎士であることも信じているから、
推論者は不整合になる。
しかし、推論者は整合であると信じているので、
不整合にならないことも信じている。
したがって、推論者は不整合である。

7.4型の推論者に次のような2つのことを言ったとする。
(1)「あなたは私が騎士であると信じることはないだろう。」
(2)「もし、あなたが私が騎士であると信じるならば、
あなたは不整合になってしまうでしょう。」
その推論者が不整合になり、島の規則が成立しないことを証明せよ。
(1)k≡~Bp
(2)k≡(Bk→B⊥)
[解答]

(1)を信じるとき、G#より(b)。
つまり、(Bk→B⊥)を信じる。また、彼は(2)を信じるから、pを信じる。
定理G#の(a)より、不整合となる。
さらに、島の規則が成り立つと仮定する。
kを信じるので(1)は偽となる。また、不整合と成ったので真となる。
したがって、島の規則は成立していない。


ある推論者がBp→B⊥を信じるならば、その推論者はpを信じること
を恐れる。

8.もし、正常な1型の推論者が自分の整合性を恐れるならば、
彼は実際に、自分の整合性を信じられないことを示せ。
[証明]

正常な1型であり、彼はB(~B⊥)→B⊥...(1)を信じると仮定する。
~B⊥を信じるとすると正常であるからB(~B⊥)を信じる。
また(1)を信じているから、B⊥を信じる。
したがって、~B⊥&B⊥を信じることになり、不整合であると信じる。


9.4型の推論者に関して、命題B(B~B⊥→B⊥)→(B~B⊥→B⊥)が真である。
任意の4型の推論者が、この命題が真であると知っていることを証明せよ。
[証明]

B(~B⊥)→B⊥を信じる。
~B⊥→~B(~B⊥)は論理的に同値で、信じる。
ここで4型の推論者は、~B⊥を信じているので~B(~B⊥)を信じる。
また正常であるからB(~B⊥)も信じる。
したがって、不整合になる。
B(B~B⊥→B⊥)→(B~B⊥→B⊥)は真となる。

10.ある4型の推論者が、自分の整合性を信じることを恐れるこという
ことを信じるとすると、彼は実際に自分の整合性を信じることを恐れているだろうか。
[解答]

B(B~B⊥→B⊥)→(B~B⊥→B⊥)が真であることは、このことに対応する。