谷川俊太郎の詩集を読みました。
- 作者: 谷川俊太郎,中島みゆき,ねじめ正一
- 出版社/メーカー: 角川春樹事務所
- 発売日: 1998/06/01
- メディア: 文庫
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以下「手紙」という詩が好きです。
谷川俊太郎『手紙』
電話のすぐあとで手紙が着いた
あなたは電話ではふざけていて
手紙では生真面目だった
<サバンナに棲むシカだったらよかったのに>
唐突に手紙はそう結ばれていた
あくる日の金曜日(気温三十一度C)
地下街の噴水のそばでぼくらは会った
あなたは白いハンドバックをくるくる廻し
ぼくはチャップリンの真似をし
それからふたりでピザを食べた
鹿のことは何ひとつ話さなかった
手紙でしか言えないことがある
そして口をつぐむしかない問いかけも
もし生きつづけようと思ったら
星々と靴づれのまじりあうこの世で